＜平成23年年始ご挨拶＞
気に入っている自然に囲まれた佐鳴湖の北岸で循環器疾患、生活習慣病の専門クリニックをオープンして、早いもので2度目の新年を迎えます。医師になって以来ずっと総合病院の循環器科で過ごしてきた身にとって、クリニック開業というのは大いなる変化への挑戦：challenge for changeでした。それが、ほぼ自分の思い描いていたとおりのかたちで実現され、それなりの評価を受けていると実感できるようになったことを大変うれしく思っています。

総合病院で病状が前面に現れた患者さんに対するCCUあるいは心血管造影室で行われる治療を “点”での治療と考えると、クリニックでの継続的な病態評価に基づく予防治療はまさに“線”の治療といえます。点での治療に携わりながら、明らかに予防できたはずと考えられる患者さんに多く遭遇してきた体験から、線での予防治療の需要性をつよく認識してきました。 点での治療のタイミングとその限界を知っていることと、継続的に病態を正確かつ詳細に評価出来ることは、線での治療においてその質を決める決定的因子と考えます。総合病院での経験から、点での治療の適応と限界については熟知することが出来ました。また、経験豊かで信頼できる超音波検査技師とマルチスライスＣＴでの血管造影に前向きに取り組む有能な放射線技師を擁していることは、心血管系の画像診断という面で総合病院の循環器外来に劣ることのない診断レベルを有していると自負しています。 また、開院以来電子カルテと一体化した画像データベース、電気生理データベースで完全なペーパーレス診療を実現し、診察では能力のある医療クラークが医療情報を入力することで医師は基本的に患者さんと向かい合ったまま診療することは、総合病院での反省に基づく外来診療です。ただ、基本検査を当日実施してその結果に基づき治療方針を決める診療体制から、総合病院ほどではないにしてもクリニックとしては相変わらず待ち時間が長いクリニックとして悪名がとどろいています。そこは待合室のリラックスした雰囲気とスタッフの優しさで、カバーしたいと思っているのですが・・・。

開院以来相当数の患者さんが当クリニックのＣＴ血管造影などの検査で積極的治療が必要と判断され、病院でカテーテル治療など外科的治療を受けて元気になられています。クリニックをオープンして実感したことですが、安心して侵襲的治療を依頼することの出来る、レベルの高い一流の専門医が近郊の病院の循環器科・心臓外科にいて緊密に連携がとれることはたいへん心強いことであり、ありがたいことだと思っています。最近、重篤な冠動脈疾患を3日連続で緊急で治療をお願いしたこともあり、その思いを強くしている次第です。

平成23年1月