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<東北大震災に思うこと / 冠動脈CT造影検査>
3.11 の東北大震災の被災者の皆様には 心からのお見舞いを申し上げます。 自然の猛威という言葉を遙かに超えた恐ろしいまでの破壊力にただただ唖然とし、言葉を失うばかりです。これほどの災難を受けながらも、他を思う心を忘れず、そして前向きに立ち向かう東北の方々の忍耐強い姿には深く胸をうつものがあります。被災された皆様に一刻もはやく日常がもどることを祈って止みません。 我々は歴史に学んで進歩してきたはずです。過去の経験が十分に活かされていなかった事実は、今回のあらゆる事象を正当に検証し科学的な対応をとることの必要性を強く示唆します。とくに原発については、このような未曾有の危険性をはらむ事業を国の政策として進めてきた以上、その安全についての管理責任は国家がきっちりと負うべきものです。事故発生直後からの政府担当機関の主体性の見えてこない、危機管理能力の甚だしい欠如には驚くべきものがあります。事故をシステムの問題としてとらえ、諸外国の組織、英知も交えて系統だった検証を徹底的に行うことで、原発そのもののあり方とその危機管理についてもう一度根本から議論し直すことは国民というよりも人類と地球環境に対しての責務と思われます。critical pointで中央の右往左往に振り回されることなく、現場での確固たる判断で海水注入を続けた福島第1原発の吉田昌郎所長の孤独な英断を、管理と情報発信における個人的な責任問題として糾弾する愚かさに同調するマスコミ報道をみるにつけ、いまだroot cause analysisの重要性とそれにおける自らの役割を理解していないことへの苛立ちを感じます。政府も、マスコミも、そしてわれわれ自身ももっとmatureにならなくてはいけないと感じます。原発を推進した政府を選択したのは我々であり、この時期に足の引っ張り合いを画策する政治家を選出した責任は我々にあることを認識するべきです。安全と必然神話に洗脳された初めから原発ありきではなく、ある程度の生活の不便を甘受する覚悟でクリーンエネルギーをもう一度考え直すよい機会ではないでしょうか。
さて、クリニックは本年7月末で開院以来2年となります。
それを待たずして5月18日に通算1000例目になる冠動脈CT造影検査を実施しました。それまでのCT造影で有意病変が確認され血管形成術、あるいはCABG手術を受けた症例数は200症例を越しています。ただ、CT造影の意義はこれまで強調してきたように狭心症の原因となるような高度狭窄を見いだすことよりも、心筋梗塞に至る可能性のある不安定性の高い動脈硬化プラークの存在を見いだし、至適内科治療を開始することで致命的な虚血イベントを抑制することにあります。全く症状がないにもかかわらず、CTで危険な冠動脈病変が見つかることは稀ではありません。撮像と画像構築を担当する小山放射線技師も症例数を重ね、経験を積むことで造影画像はさらに洗練され、その画質レベルは定評あるものとなっており、他院からの冠動脈CTAの依頼も増えています。必要と判断されたなら当日冠動脈CT造影を実施する"Walk-in coronary CT angiography"は、循環器専門クリニックである当院の他に例を見ない特徴のひとつです。
また、超音波検査の加藤技師は循環器領域、血管領域はもちろんのこと、婦人科領域以外のほぼすべての領域で超音波検査の認定を取得しております。さらに血管系の3学会合同の認定であるCVT(Clinical Vascular Technologist)の認定も受けております。その豊富な臨床経験はMDCTとならび当院の画像診断の双璧をなすものです。そして、栄養指導を担当している管理栄養士も多忙の中で研鑽を積み、今回新たに健康運動指導士の資格を取得しました。それに基づいて、栄養と運動の両面から適切な生活指導を実施しております。 循環器疾患、生活習慣病を持つ患者さんにとって最も重要なことは、患者さん自身が病態とその自然経過について正しく理解し、生活習慣の適正化を実行し、エビデンスに基づく至適内科治療を継続することにあります。当クリニックはスタッフ全員がそれぞれプロ意識を持って、それをしっかりサポートしていきたいと考えております。

23年5月