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<新しいキャノンがきた>
今年は時間を意識しようと心に決めた。すでに半年が過ぎようとしているが、これは言葉で言うほど簡単なことではなくある程度持続的な緊張感を自分に強いる、思っていたよりもなかなか労力を使うことである。 ただ、無為に過ごしていると思う時間もかつてのように否定的にとらえず、そこに意義を見いだせる余裕ができてきたことで、この時間を意識することを少しは楽しめるようになってきた。そうなってくると、空いた時間をむしろ意識的に演出しようという気持ちが湧いてくるようになった。この進歩は、自分では大変よいことだと思っている。客観的に考えれば、今の自分はプライベートな環境においてかなりハードな日々をおくっているといえると思う。それに押し潰されないでいられるのは、この無為に過ごしている時間と空間があり、それをちょっとした自分の好みに演出することで心地よい開放感にしばし漂うことが出来ていることに依ると思っている。もちろんそれは、そういう時間に逃避していると言い換えることもできるのだが。
GWに旅先で見つけた、日本の匠の技が光るチタン製真空二重構造のタンブラーに納めた溶けない氷で久しぶりにバーボンに回帰しこれを打っている。Macからは気持ちのよい音楽が流れ、今日のところは締め切りのある仕事も残っていない。長く欲求不満が溜まっていたが、待ちに待った新しいキャノンがつい先日ようやく手に入った。今はそのことを思うだけで、子供のように心が弾んでくる。かつてフィルムカメラを携えていろいろ旅した頃の沸き立つような好奇心がよみがえってくる。これを持って、知らない日常が過ぎ去っていく街角をぶらついてみたいと思う、そしてそんな自分を想像するだけで十分楽しい気分になってくる。忘れそうになっていた大切な何かがまだそこにあるような気がしてくる。こうして、仕事からも日常生活からも気持ちの上で遊離できるしばしの時を持つことは、決して無為と否定的にとらえるべきものではなく、これは絶対に必要なことだと確信的に思えてくる。この時間と空間を、さし当たり大切にしていきたいと思っている。
5月になり、診察室で電カル入力をしていた優秀な医療クラークがいよいよ産休に入った。幸い、フレキシブルな能力のある受付スタッフがカバーに入り支障なく診療は行われている。改めて有能なスタッフに恵まれていることをうれしく思う。昨年末、スタッフ全員に各々の仕事領域のマニュアル作成を依頼した。これは、本人がいなくてもそれを参考にすることで他のスタッフがその業務を問題なく代行できるレベルの内容を可及的に簡潔にまとめることを条件とした。出来上がったマニュアルに目を通して、改めてスタッフが各々の業務における自分の役割を完全に掌握しているだけではなく、いろいろ独自のアイデアを実践し効率的な業務体制を確立していることがよくわかった、頼もしい限りである。こうした有能なスタッフとともに働くことは、ほんとうに楽しいことである。ただ、ここしばらくの慣れない仕事環境において皆少しオーバーワークになりつつあることが、気がかりである。せめて、余計なストレスは遠慮したいところである。医療はサービス業ではないと考えている。病を持つものと診療をするものは互いに病に対して戦う同志であると信じている。だから自分は患者様という呼び方はしない。病を持つものの当然としての不安を理解し、できる限りそれを和らげる努力をするようスタッフにはお願いしている。ほんの一握りではあるが、医療をサービス業と思い違いをしている者の礼節を逸脱した言動に対しても誠実に対応しているスタッフをみると、本当に頭が下がる思いである。自分の忍耐力はスタッフのレベルにはとうてい届かないと思っている。
さて、当クリニックにとって大きな発展があった。この4月から画像診断医の杉山 雅洋医師がCT画像の読影に参加してくれるようになったのである。冠動脈造影の際に得られる肺野や縦隔の画像、大動脈造影や下肢動脈造影に際して得られる腹部臓器の画像などにおいて、的確な診断と方針を示唆してくれる。短い期間において、すでに複数の症例で重大な疾患を指摘して頂いた。CT画像において、より強力な診断体制が出来上がったと考えている。先生は誠実なお人柄で人格的にも秀でており、ほんとうに心強いサポートをしてくれる。すばらしい先生の参加を得て、画像診断上のさらなる向上が果たせたことをとてもうれしく思っている。

平成24年5月